メンテナンス=安心して乗り続けられるように愛車を整備してコンディションを保ってあげること。でも、工具が必要だったり、なんだかヘタにさわると壊してしまいそうで、なかなか手が出せないもの。そこで今回は工具や必要な物が少なくて、しかも誰にでもできるチェーンの注油を紹介するよ。
チェーンって、そもそもどんな仕事をしているの?
チェーン[chain/英語]=鎖のこと。バイクのドライブチェーンは車体のエンジン側からリヤタイヤに伸びているパーツで、タイヤ側に付いているギザギザの歯車にかかっている環状の部品。もっと簡単に言えば、自転車のチェーンを思い浮かべてみるとわかりやすい。エンジンとリヤタイヤそれぞれの歯車に環状になって取り付けられている小さな部品が組み合わさってできた文字通り“金属の鎖”ともいえるパーツだ。
このチェーンの仕事はズバリ、エンジンが作り出した力をリヤタイヤに伝えること。原理的には自転車と同じで、エンジン側に付いた歯車が回ることでチェーンを引っ張り、引っ張られたチェーンがさらに後輪の歯車を回すことで、タイヤを回しバイクは前に進んでいる。つまり、チェーンはバイクが前に進むためになくてはならない重要なパーツなんだ。
どうしてチェーンには油が必要なの?
チェーンは“エンジンで作られた力をムダなくリヤタイヤに伝える”というその仕事の性質上、スムーズに動かなければならない。また、タイヤを回すにはとてつもなく大きな力がかかった状態で金属の歯車(スプロケット)と噛み合わさるため、負担が大きく摩耗(削れ)が激しい。
そこで登場するのがチェーンオイル。このチェーンオイルがちゃんと塗られ、金属同士に油の膜(油膜という)ができていれば格段にチェーンとスプロケットの負担を減らすことができ、摩耗を防げるよ。だから常にチェーンオイルで潤滑されている必要があるんだ。
しかし、チェーンはつねに野ざらし状態。オイルでベタベタのまま土ぼこりにさらされれば、尋常じゃない量の異物が付着し、雨の中を走ればオイルの飛び散りも早い。もし、オイルがなくなってしまった(油膜切れ)状態で、走り続ければ、摩耗が加速度的に進み、通常の寿命よりもはるかに早い段階でチェーンやスプロケットといった部品を交換しなければならなくなる。このため、チェーンは定期的にオイルを塗布してあげる必要があるというワケ。
チェーンの注油時期
排気量や走り方、周囲の環境も関係するため、明確に○○kmとは言えないけれど、オイルはタイヤを回すときに起こる遠心力で常に周囲に飛び散り、少しずつオイルがなくなっていくから、コマメに注油してあげる必要がある。とくに雨の中を走った後などは油膜切れを起こしている場合が多く、そのままの状態だとサビも誘発しやすい。車両が乾いたのを見はからってチェーンオイルを注してあげよう。
たとえ、チェーンオイルを塗りすぎてしまったとしても、それほど気にしなくてもOK。オイルの塗りすぎで起こる不具合は、余分なチェーンオイルが走行中の遠心力で飛び散ってホイールを汚すぐらいだから。
(その2に続く)