
子供のころ、走っていて道路で転んだ経験はだれしもあるハズ。あの程度のスピードでもアスファルトに擦ったヒザや手からは血が出て痛い思いをしたんじゃないかな? そう、ヒトの皮膚は薄くて破けやすい。とくに手は、もっとも外部と接触することの多いところだから、その分だけリスクを負っている。そんなリスクから自分の身を守るためにグローブをするんだよ。
素手でアスファルトに触るということは…
アスファルトはタイヤのグリップをよくしたり、水はけをよくするためにボコボコしていたりして、まるでオロシガネ…。こんなところでスピードを出しながら転倒したら…?考えるだけで痛いよね。
もう充分わかったと思うけれど、グローブを装着する一番の理由は手の“保護”にある。そして、それはなにも転倒したときだけに限らない。アクセルやクラッチの操作も、長時間ずっと休みなく続けていれば手のひらがツラくなる。グローブをしていてもマメができてしまうくらいなのだから、素手では手のダメージもケタ違い。
また、グローブを装着することで手(と腕の筋肉)の疲労はかなり抑えられるし、汗ですべることもなくなるよね。
冬場の“防寒”も、結局は保護が目的だったりする。1月とか2月に素手でバイクを運転したことがあるかなあ(ないとは思うけれど…)?ものの数分間走るだけで指先の感覚が失われてしまうハズ。そんな状況でバイクを運転すれば、楽しむどころじゃないのはもちろんのこと、操作を誤って事故を起こしてしまうことだって考えられる。だから厳冬期には、指先まで暖かいというグローブはそうそうないにしても、不安がない運転ができる程度に暖かいグローブが必要。ぜいたくを言えば、雨にも対応できるともっといい。透湿防水素材やネオプレインを採用したモデルであれば、なお安心できると思うな。
グローブにも種類があるの?
さて、一口にグローブといっても、いくつかの種類に分けることができる。そこで、大きく6つのグループに分けて説明するよ。今回はグローブの必要性について説明するために、“実用性”に注目したけれど、それと同じくらい大切なのはやっぱり“デザイン”。
ウエアの好みやバイクの種類、素材感やカラーリングなど、いろんな要素と照らし合わせて選んだお気に入りは、きっとバイクライフの彩りとして、より広い意味での“必需品”になるハズ。
ショートタイプは形状にかさばったところがなく使い勝手がよくて、もっともスタンダードなタイプ。厚手のウインタージャケットを着ていても、手首にさほど干渉しないので装着がしやすい。ウエアの手首の厚みを問わず装着しやすいのはメリットだけれど、ウエアとの間にすき間を作ることもあって、冬場は走行風が入り込んでしまって寒かったり、夏場はすき間の部分だけ日焼けしてしまうことも
ロングタイプは手首をすっぽり覆うことができるため防風性・防寒性にすぐれ、なおかつ防御力も高い。ウインターグローブは防寒が目的なので、手首まですっぽり覆うことのできるロングタイプが多い。ウエアの手首部分に厚みがあると窮屈になりがちで着脱にちょっと手間取ったりすることも多く、ウエアとの相性がイマイチだと装着しにくいことも。また、当然夏場はショートタイプのグローブよりも暑い
ツーリングユースを想定した全天候型のグローブ。ゴアテックスなどの透湿防水素材を採用していることも多いので、長期のツーリングなどで突然雨に降られてしまっても体温を奪われずにすむ。また、プロテクターも付いていることが多く、安全性と耐候性に特化している。その分、デメリットとしてシンプルなレザーグローブなどよりも大きくてかさばるような装着感になりがち
レーシンググローブは一般道ではありえないスピードで競走するロードレース向けに作られたもの。素材は革がメインで、硬質素材(プラスチックやカーボンなど)のプロテクターが付けられている。見た目とは裏腹に、操作性に対して最大限の配慮がなされているからレバー操作などはしやすい。ちょっと見た目が大げさなのと、乗るバイクによってはビジュアル的な相性がよくないのが難点かも
速度域がオンロードに比べて低く、地面が土を想定したオフロードグローブは伸縮性の高いナイロンなどを採用していて、薄手で軽いものが多い。ゴム製のプロテクターを付けたものが多いけど、基本的には操作性を最優先したものが多く、フィット感を大切にしている。操作のしやすさや、装着時の軽快さはいいけれど、それと引き換えにアスファルトの道で転んだときにはあまり頼りにならない
グローブはまぎれもなく実用品で、なおかつ消耗品ではあるけれど、ファッションの観点からも重要なギア。使いやすさや安全性も大事だけど、毎日でも使いたくなるようなお気に入りのアイテムかどうかもポイント。レザーグローブの包まれるような着け心地を大事にしてもいいし、色やデザインを大事にしてもいいし、プロテクションの数や防水性といった機能を大事にしてもいい