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あらためて2023年モーターサイクルショーを振り返る


2305_2023年MCS振り返る

 

長年モーターサイクルショーを見続けてきたモーターサイクルジャーナリストの川崎由美子さんに、今年の東京と名古屋会場に足を運んで感じたモーターサイクルショーの魅力をまとめてもらいました。

 

毎年3月になると“バイクシーズン到来!”の合図にもなる“大阪モーターサイクルショー”“東京モーターサイクルショー”が開催されます、2022年からは、この2大モーターサイクルショーの後に“名古屋モーターサイクルショー”が加わりました。今年足を運んだ東京モーターサイクルショーは50回目、名古屋モーターサイクルショーは2回目の開催でした。

この2つのショーの私が感じた大きな違いは、東京では屋外イベントとして警視庁女性白バイ隊“クイーンスターズ”のドリル走行とMFJトライアルデモンストレーションが行なわれたのに対して、名古屋は広い屋外スペースを活かした屋外イベントが充実していたところです。屋外イベントは天候に左右され、雨天の場合は中止になることも多く、クイーンスターズのドリル走行は、残念ながら昨年に続き今年も初日のみの開催でした。そんなわけで、すでにたくさんのメディアによって屋内のレポートは充実しているので、今回は屋外イベントの魅力を中心にお伝えします。

 

【東京】警視庁女性白バイ隊“クイーンスターズ”のドリル走行

警視庁女性白バイ隊“クイーンスターズ”の隊員のみなさん。7台の白バイが乱れることなく模範走行を繰り返す姿は、小さい子供やバイクに乗っていない人にもそのすごさが伝わっていて、いつか自分もバイクに乗りたい!と夢を抱かせてくれているようでした。

 

【名古屋】二輪駐車場

名古屋会場の広大な二輪駐車場は会場敷地内にあり、屋外イベントのすぐ脇にあるため非常に便利。会場となったAichi Sky Expo(愛知国際展示場)に行くには、常滑市から中部国際空港連絡道路(セントレアライン)という125cc以下のバイクが通行不可の有料道路を通らなくてはなりません。そのため125cc以下のバイクは、常滑市の指定駐輪場に駐輪し、そこからシャトルバスで現地に向かうことになります。

 

【名古屋】最新モデル体験試乗会

ずらりと並んだニューモデルを試乗できる機会は最近ないに等しいので、すぐに予約が埋まってしまうほど人気でした。初日は雨天のため中止になったのですが、2日目、3日目は快晴だったので大盛況。実際にまたがってエンジン音を聞きながらシフトを変えて、という当たり前の動作がワクワクしてしまうのが試乗会なんですよね。また、試乗会と併催されていた教習所の指導員によるビギナー向けの安全運転講習も好評で、リターンする前に講習に参加して気持ちがラクになりました!とコメントいただいた方の明るい笑顔が印象的でした。

 

【名古屋】愛知県警 白バイ隊のデモンストレーション

4台の白バイ隊が模範走行を披露しました。とくにリーンイン、リーンウイズ、リーンアウトの乗車姿勢を変えた走行見本は、模範走行区分の周りを囲むように大勢の観客がどの場所からでも見やすいように工夫されていて、非常にわかりやすく「カッコいい!」「なるほど、あんなふうにすればいいんだ」という声が観客の中から聞こえ、普段二輪教習員として講習会に立ち会っている私までうれしくなってしまいました。きびしい訓練を日々重ねているからできる走行に誰もが釘付になっていた時間でした。あこがれるっていいですよね。

 

【名古屋】女性白バイ隊の杉木果穂隊員

愛知県警の女性白バイ隊“セーフティー・アイリス”は、現在10名。白バイ隊員にあこがれてメンバーとなった杉木隊員は、「白バイに乗ることでみなさんの安全を守り、見本となるような走行を心がけバイクの楽しさやよさも感じてほしいと願っています。日々一つひとつ学びながら白バイに乗っています」と輝く眼差しでお話しくださいました。この輝かしい杉木隊員のような姿にあこがれを持つ少女たちも増えてほしいですね。

 

【名古屋】こども電動バイク体験教室

ヘルメット、プロテクター類はすべてレンタルがあり、会場に来れば気軽に試乗できるため、ちびっ子に大人気のコーナーでした。

 

まるっきり初めて乗るという子も、インストラクターから最初に電動バイクの特性を丁寧に教わり、2~3周するうちにバランスの取り方なども走りながら学び、最後には障害物もなんのその、という上達ぶりでした。最初からあきらめることなく、なんでも少しづつ自分の力と相談しながらトライしていく姿を見て、大人たちが逆に見習わねば!と気づかされるところも多々ありで、子供の成長幅の広さを大切にしていきたいと感じました。

 

小学6年生のセツナちゃんは、初めてのライディングだったのですが、普段父親の後ろに乗ってタンデム走行を楽しんでいるとのこと。そんな影響もあるからでしょうか体重移動や目線がばっちり決まっていて、目線の話をした途端に修正できてしまう対応力の高さに驚きました。子供の素直さって大事で、こういう時にたくさんいいものを吸収させてあげたいですよね。乗車に関するテクニックだけでなく、バイクに乗る際の安全に関することやマナーなども子供たちはすぐに吸収できますからね。ちなみに私が数年間暮らしたドイツでは地区にもよりますが、小学生の時に自治体や警察、学校、父兄が子供の自転車教育、交通教育をほどこしているため、大人になっても公道での交通マナーがよかったのです。同様に今回のような体験会を通してちびっこたちの交通教育、テクニック、などを養っていけたらいいですよね。

 

ヨツバモト

今回試乗したやさしいネーミングとフロントの顔(?)が可愛い“Meow”。バイクの詳細は、ヨツバモトのHPをご覧ください。

モータリスト

大人む向け車両の横にカッコよく配置され、ちょうど屋外につながる出入口付近ということもあり子供たちの目を奪っていたTORROTは、スペインからやってきた電動バイク。サイズ感や軽さ、手軽に乗れるということもあり、またがるちびっこが多かったのが印象的でした。

 

唯一、大阪、東京、名古屋と開催された屋外イベント
“トライアルデモンストレーション”

どの会場でも大人気で、名古屋では2022年全日本トライアル選手権シリーズランキングトップ4が登場という超豪華体制でした。右から小川友幸選手(チャンピオン)、野崎史高選手(4位)、黒山健一選手(2位)、氏川政哉選手(3位)。華麗なる技に加えてMCのまんぼーさんを交えたおもしろトークがさらに楽しさをましてくれ、どの回もあふれんばかりの観衆に囲まれての演技で、見る側も大満足だったことでしょう

 

未来のトップ選手も大活躍

大物選手のライディングの前に、2022年FTJレディストライアルチャレンジCUP レディスBクラス年間チャンピオンのゆいちゃんこと寺澤心結(ゆい)選手のデモンストレーションも行なわれました。その大人顔負けの走りっぷりは、子供から大人まで全員のハートを射止めた感じでした。ゆいちゃんがチャレンジしているトライアルを見に行きたくなったというファンが、増えたのではないでしょうか? 私もその一人です。ショーのちょっと前に行なわれたFTJレディーストライアルチャレンジCUPでは、これまでの電動バイク“ウーフ”からエンジン車の“ベータ”に乗り換えてのチャレンジで、レディスクラスBで大人に混じってクラス4位を獲得。これから目が離せない存在ですね。今後の活躍を応援していきたいですね。

 

女性ライダーや高校生にやさしいことたくさん!

名古屋は昨年に続き主催者側の“二輪車のすそ野を広げるために”という趣旨のもと、女性と高校生以下が入場料無料でした。そのおかげもあってか、松崎祐子さんと林香織さんが主宰するFacebookのコミュニティーグループ“バイク女子部”のみなさんが土曜日のお昼に集まってましたし、家族連れが非常に多かったように思います。また、国内4メーカー各社から設計開発の責任者が参加し、県下の工業高校生を対象に“高校生向けものつくり講座”が開催されました。二輪業界の魅力などをメーカーの開発責任者に直に聞くことができるということで、土曜日には制服姿の高校生を大勢目にしました。そのちょっと活気のある雰囲気がうれしく感じた私でした。若い世代に日本のものつくりへのこだわりを他方面から育んでいけるといいですよね。

 

温かい地域性が感じられた名古屋モーターサイクルショーでは、前回にもましてご当地グルメキッチンの出店数が増えていました。

お弁当には、一つひとつに心温まるメッセージが書かれていて、心もおなかも温かさでいっぱいになりました。ごちそうさまでした。

 

まとめ

今年の東京は3日間とも天候に恵まれなかったのですが、新型コロナウイルスに関する規制が緩められたこともあってか、天候に関わらず大勢の人たちが来場しました。そのようすに、“みんなバイクが好きだから、バイクでつながった絆があちらこちらに存在するから集まれる、会話ができる、楽しめる、たとえバイクに乗れない時でも、心がバイクでつながっているんだ”という印象を受けました。

 

名古屋では、地域の文化を守りながらもバイクとの接点がたくさんあり、それを上手に反映させている企業やメーカーさんが多いと感じました。そして“ものつくり”を大切にしていることも強く感じました。

 

乗り物を通して心が一つになれるモノって、バイクの他にはないと思うんです。バイクを介した素敵な出会いやつながりをこれからも大切にしていきたいとあらためて感じた東京&名古屋モーターサイクルショーでした。

 

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